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記者会見における手話通訳について(三団体 共同声明)

 今般、内閣官房長官から新元号「令和」の発表がありました。その発表をNHK及び全ての民放は生中継しましたが、手話通訳を付けて放送したのはNHKだけでした。生中継中「令和」と書かれたボードが手話通訳者と重なり文字が見えなくなったことと、その音を聞き間違えて指文字で表現したことがネット上で話題となり、マスコミ各社から問い合わせを受けています。
私たちは、現在ネット上で話題になっている上記の動きが手話通訳付き放送導入の障壁となるのではないかとその先行きを懸念しています。しかし諸々の課題は私たちや関係機関の英知により必ず解決できるものと思っています。私たちは手話通訳付き放送の歩みを止めることなく、さらに加速させるため、以下の通りの見解を公表します。
 
@ 私たち三団体はかねてより手話通訳者の役割の理解普及を図っており、その社会的地位の向上を願っております。しかしながら現状では手話通訳者への理解がまだ不足しています。
A 今回の新元号の発表において、テレビ放送で手話通訳を付けて放送したのはNHKだけでした。新元号発表の会場で手話通訳を行っていたことからどの放送局も手話通訳付き放送が可能だったにもかかわらず、民放各社は手話通訳を付けずに放送しました。私たちは、NHKが手話通訳付けて放送したことを高く評価します。
B わが国では障害者権利条約の批准に先がけ国内法の整備を進め、障害者差別解消法が整備されました。合理的配慮を提供しない行為は差別であると認識されるようになり、テレビ放送では字幕と手話言語通訳の付与が大きな課題となっております。海外の多くの国ではテレビ放送で手話通訳を付加することが増えてきていますが、わが国では残念ながらほとんど進まない状況にあります。
C 今回のNHKが手話通訳付き放送を実施できたのは、首相官邸内の記者会見の場に内閣府が手話通訳者を配置したからであり、私たちは、内閣府が常に手話通訳者を配置していることを高く評価します。
D この配置された手話通訳者を同時に放送するかどうかを決めるのは放送各社の判断によります。首相や官房長官の記者会見を手話通訳付きで放送しているのは全てではないですが、現状ではNHKだけです。
E 今回の騒動で手話通訳付き放送の歩みを後退させることがあってはなりません。私たちは関係機関に対し、いつでもどこでも手話通訳付き放送をみることができるよう速やかに取り組まれることを求めるものです。
 
2019年4月5日
全日本ろうあ連盟
全国手話通訳問題研究会
日本手話通訳士協会

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